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遺産分割協議は面倒くさい?

みなさん、遺産分割協議という言葉はご存じですか?

遺産分割協議とは、お亡くなりになった方の財産や借金をどのようにして分けるかを相続人が話し合いによって決めることをいいます。

お亡くなりになった方が遺言を作成していた場合は、財産や借金をどのように分けるかが予め決まっているので、原則として遺産分割協議をする必要はありません。

したがって、遺産分割協議は、基本的にお亡くなりになった方が遺言を作成していない場合に行います。

例えば、お亡くなりになった方が、自宅不動産を所有していた場合、不動産は切り分けることができないので、不動産を売却して売却代金を相続人全員で分けるか、相続人のうち誰か一人が不動産を所有し、その他の相続人に対してはお金を支払うか、相続人全員が不動産を共有するかを決めなければなりません。このように、お亡くなりになった方が不動産を所有していたときに、相続人全員で不動産の処分の方法を決める必要があるのです。その他にも株式を持っている場合や、高価な貴重品、自動車などを持っている場合等すぐに分けることが難しい財産がある場合は、やはり話し合いによって決める必要があります。

最高裁判例(平成28年)を受けて、令和1年7月1日民法改正の『預金債権の払戻しの新設』もこれまでの取り扱いを変更し、預貯金についても遺産分割をしなければ、相続人は相続分に応じた預貯金を受けとることができないとことになりました。

ほとんどの方は自宅不動産や預貯金を持っているので、多くのケースで、お亡くなりになった方が遺言を作成していない場合、原則として遺産分割協議をして財産の分け方を決めなければならなくなりました。

遺産分割協議をするときに気を付けなければならない点が2つあります。

それは、遺産分割協議は相続人全員で行うことと、協議の結果を書面に残さなければならないことです。

遺産分割協議は必ず相続人全員で行わなければならず、一人でも相続人が欠けた状態で行うと、その結果は無効となります。例えば、まったく連絡先を知らない法定相続人がいる場合、戸籍の取り寄せなどをしてその相続人を探し出し遺産分割協議に加わるよう連絡をする必要があるのです。また、相続人に未成年者がいる場合はその代理人が参加をしなければなりません。

相続人全員で協議が整えば、あとで問題が起こらないよう協議の結果は書類に残したほうがよいでしょう。この書類のことを遺産分割協議書といいます。遺産分割協議書はとても重要です。相続人全員の押印がある遺産分割協議書がなければ、不動産の登記をすることができませんし、預貯金全額を引出しすることも困難となります。

これまで遺産分割協議のやり方についてお話しましたが、遺産分割協議ってとても面倒に思いませんか?そのとおり。実際にとても手間がかかります。そこで、遺産分割協議を防ぐ唯一の方法が遺言を書くことなのです。

遺言がないと残された家族は、相続人全員を探し出し、連絡をとって遺産分割協議を行わなければなりません。さらに、分割の割合や方法について話がまとまらなければ、何年もかけて話し合いをしたり、裁判所に行かなければならなかったりすることも少なくありません。

遺言は、「家族への最後のラブレター」と言われます。遺言は財産の分け方を決めるという意味だけではなく、残された家族に負担をかけないという家族に対する思いやりの一つなのです。

今夜こっそりと一人で、家族の顔を思い浮かべながら、財産を家族にどのように分けるかを考えてみませんか?できれば、それを残しておきましょう。ちゃんとしたものではなくても全然構いません。

もしかすると、書き終えたとき、家族の笑顔が頭に浮かんでくるかもしれませんね。